発酵食品に期待される効果は、腸内環境の改善をはじめ、美肌や免疫力アップ、ストレスの軽減、さらには生活習慣病の予防まで、発酵食品の力は幅広く証明されてきています。
ここでは、日常的に取り入れやすい納豆やヨーグルト、味噌などの食品を例に挙げながら、発酵食品が僕たちの身体にどのようなメリットをもたらすのか?を解説します。
発酵食品の主な効果5選
発酵食品は、実際に多くの研究でその効果が示されています。ここでは、腸内環境の改善から美容、免疫、疲労回復、代謝促進など、その具体的な効果をご紹介します。
① 腸内環境の改善と便通のサポート
発酵食品に含まれる乳酸菌や納豆菌などの善玉菌が、腸内の悪玉菌の増殖を抑え腸内フローラのバランスを良好に保つ働きがあるため、発酵食品は腸内環境を整え便通を改善する効果が期待されています。また、発酵食品が腸のぜん動運動を活性化させることで、便秘や下痢といった不調を改善する効果があるとも言われています。
・善玉菌が増えることで腸内の腐敗を抑制
・短鎖脂肪酸の生成により腸の動きが促進される
・水分保持力が向上し、自然な排便を助ける
② 免疫力の向上と病気予防
発酵食品には免疫機能を高める働きがあります。腸に全身の免疫細胞の約7割が存在しており、腸内環境の状態が免疫力に大きく関わり、発酵食品に含まれる乳酸菌などの有用菌が、腸の免疫細胞を活性化させることで免疫力が高まります。もう少し掘り下げると、乳酸菌はマクロファージやNK細胞の働きをサポートし、ウイルスや細菌から体を守る力を高めるとされています。
・インフルエンザや風邪の予防につながる可能性
・花粉症やアレルギー症状の緩和にも期待
・キムチやヨーグルトに含まれる菌が特に有用とされる
③ 美肌やアンチエイジング効果
腸内環境が整うことで体内の炎症が抑えられ肌のターンオーバーが正常化されるため、発酵食品には肌の健康をサポートし老化の進行を抑える働きがあります。また、発酵過程で生成されるビタミンやアミノ酸も、美肌に役立つ栄養素です。肌の潤いやハリを保つ成分として、味噌や甘酒に含まれるビタミンB群やアミノ酸などがあります。
・腸と肌は密接に関係しており「腸内美人=肌美人」とも言われる
・酵素やアミノ酸が細胞の代謝を活性化
・抗酸化物質がシミやくすみの原因となる酸化を防止
④ ストレス軽減と疲労回復
発酵食品には、ストレスを緩和し疲労を回復させる効果も見込まれます。その理由は、GABA(γ-アミノ酪酸)などのリラックス作用をもつ成分や、エネルギー代謝を支えるビタミンB群の存在があり、発酵食品を摂ることで自律神経のバランスが整い心身の疲れを癒やす手助けとなります。納豆や甘酒に含まれるこれらの成分は、副交感神経を優位にし、心を落ち着ける作用があります。
・GABAが神経の興奮を抑え、リラックスを促進
・アミノ酸が脳の働きをサポートし、精神的な疲れを軽減
・甘酒は「飲む点滴」として、即効性のある栄養補給に効果的
⑤ 栄養吸収の促進と代謝アップ
発酵食品は体に必要な栄養素の吸収を助け、代謝を活性化させます。発酵によって食材の成分が予め分解されているため、体内での消化・吸収がスムーズに進むためです。また、発酵の過程でビタミンやミネラルが増加することも知られています。端的に言うと、発酵によって分子構造が小さくなり体への吸収効率が向上します。
・タンパク質がアミノ酸に変わり、吸収が早くなる
・炭水化物がブドウ糖になり、素早くエネルギーに変換
・酵素の働きで基礎代謝が高まり、疲れにくい体づくりをサポート
そもそも発酵食品とは?微生物の力で栄養価が高まった食品
発酵食品は、微生物が食材を分解・変化させることで、栄養や風味が増し、体に良い影響をもたらす食品です。麹菌や乳酸菌、酵母などの微生物が食材の糖やタンパク質を分解して、新たな栄養成分やうま味成分を作り出すため、この過程で消化吸収しやすくなったり防腐効果が生まれたりといったメリットも加わります。
関わる主な微生物
・麹菌(味噌、醤油、甘酒など)
・乳酸菌(ヨーグルト、キムチ、ぬか漬けなど)
・酵母(パン、日本酒、ビールなど)
発酵で起こる栄養成分の変化
・糖 → 乳酸やアルコールに変わる
・タンパク質 → アミノ酸になり、旨味が増す
得られる主な効果
・栄養価や吸収率がアップ
・保存性が高まる(腐りにくくなる)
・味や香りに深みが出る
また、人にとって有益な変化をもたらす微生物の働きが発酵であり、そうでないものは腐敗と区別されています。
代表的な発酵食品5選とそれぞれの効果
発酵食品といっても種類は様々で、それぞれの食品には特有の成分が含まれており、どのような美容・健康効果があるのかは発酵食品の種類によって異なります。ここでは、日常的に食べることが多い代表的な発酵食品について、それぞれの効果を紹介します。
① 納豆:ナットウキナーゼと整腸作用
納豆に含まれるナットウキナーゼという酵素が、血液を固まらせる原因となるフィブリンを分解し、血流をサラサラに保つ働きを持っているため、納豆は整腸作用とともに血流の改善にも効果が期待できる発酵食品です。また、納豆菌が腸内の善玉菌を増やすことで腸内環境のバランスが整いやすくなります。
・ナットウキナーゼによる血栓の分解作用
・善玉菌の増殖をサポートし、腸内フローラを整える
・食物繊維や大豆由来の成分で便通も改善しやすい
② 味噌や醤油:植物性乳酸菌と生活習慣病予防
味噌や醤油には、植物性乳酸菌が含まれており、生活習慣病の予防にもつながります。発酵の過程で生まれる乳酸菌や麹菌、酵母が腸内環境を整えると同時に、血圧や血糖の上昇を穏やかにしてくれる働きがあるためです。特に味噌は、減塩でもしっかり旨味があるため、健康的な食事のサポートにもなります。
・腸内の善玉菌を助けて消化吸収をサポート
・抗酸化成分による老化・動脈硬化予防
・血圧を安定させる可能性(過剰摂取には注意)
③ ヨーグルト:乳酸菌と免疫活性
ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌といった善玉菌が、腸内に届くことで免疫細胞が集まる腸の働きが活発になり、病気に対する抵抗力が高まるため、免疫機能を活性化させる働きがあります。特に日常的に摂取することで、その効果が持続しやすくなります。
・善玉菌がマクロファージやNK細胞を活性化
・風邪や感染症、花粉症などへの予防効果
・腸内環境の安定によって体調が整いやすくなる
④ キムチ:食物繊維とダイエット効果
キムチには白菜などの野菜に含まれる不溶性食物繊維と、乳酸菌による整腸作用、さらにカプサイシンの代謝促進作用が組み合わさっているため、腸内環境を整えながら脂肪の燃焼も助けてくれるダイエット向きの食品です。これらの成分が働くことで、内臓脂肪の蓄積や便秘の予防にも作用します。
・食物繊維によって腸の動きが活発に
・カプサイシンで代謝が上がりやすくなる
・腸内細菌のバランスが整うことで肥満を防ぎやすい
⑤ 甘酒:エネルギー補給と美肌作用
甘酒に含まれるブドウ糖やアミノ酸がすぐに体に吸収されるだけでなく、美容に欠かせないビタミンB群や葉酸などの栄養素が豊富なため、エネルギーの補給と美肌づくりに役立つ飲む点滴として知られています。研究では、肌の水分量やキメの改善効果も確認されています。
・ブドウ糖で疲労回復やエネルギーチャージ
・ビタミンB群やアミノ酸が肌のターンオーバーを促進
・腸内環境を整えることで肌荒れ予防にもつながる
発酵食品を効果的に摂る方法と注意点
発酵食品を取り入れるなら、しっかり効果を実感したいところです。ここでは、毎日の食事に無理なく取り入れるためのコツや、ちょっと気をつけたい点をご紹介します。
おすすめの摂取タイミングと頻度
腸内に届いた善玉菌や酵素が長く体内に留まるわけではなく数日で排出されてしまうため、発酵食品をなるべく毎日摂ることで効果が持続しやすくなります。
取り入れ方の例
・1日1〜2回を目安に習慣化する
・朝はヨーグルトや甘酒、夜は納豆や味噌汁など分散して取り入れる
・食事の副菜として納豆やキムチを添える
加熱によるデメリットと対策
発酵食品はできるだけ非加熱のまま食べたほうが、菌や酵素の働きを活かせます。というのも、乳酸菌は50〜70℃、納豆菌は120℃ほどで死滅するため、加熱調理によって効果が薄れてしまうことがあります。なので、調理温度を意識する必要があります。
具体的な工夫の例
・味噌汁は火を止めてから味噌を溶き入れる
・ヨーグルトはそのまま食べるか、冷製料理に使う
・加熱料理では、別添えで後から加える方法も有効
体質やアレルギーを考慮する
多くの発酵食品には大豆・乳製品・小麦など、アレルゲンとなりやすい食材が使われているため、発酵食品を摂る際には、アレルギーや体質に合わせた配慮も必要です。アレルギー体質の方や消化機能に不安のある方は、体調を見ながら少しずつ試すことをおすすめします。
具体例
・乳アレルギーの方:ヨーグルト、チーズ
・大豆アレルギーの方:納豆、味噌、醤油
また、食物繊維の多い発酵食品は過敏性腸症候群(IBS)の方に合わない場合もあります。発酵の過程でアレルゲンの性質が変化する場合があるとは言え、傾向がある方は医師の指導の元で摂取を判断すべきです。 →アレルギー総合ガイドライン2022 – Amazon.co.jp
発酵食品と生活習慣病の予防
発酵食品は生活習慣病の予防とも深い関わりがあり、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった現代病に対し日々の食事から、どのような予防ができるのかをお伝えします。
高血圧・糖尿病・脂質異常症の予防メカニズム
発酵食品に含まれる乳酸菌や酢酸、短鎖脂肪酸などの成分が腸内環境を整えることで、体の代謝や炎症のコントロールに良い影響を与えるため、発酵食品には、高血圧や糖尿病、脂質異常症といった生活習慣病を予防する効果が期待されています。腸の状態が整うと、血糖や脂質の代謝がスムーズになり結果的に生活習慣病の予防につながります。
期待される具体的な働き
・善玉菌の働きによって腸のバリア機能が強化され、炎症が抑えられる
・発酵食品に含まれる成分が血糖値の急上昇を抑える
・酢酸や短鎖脂肪酸が、脂質の分解やエネルギー消費を助ける
腸内環境とメンタルヘルス
腸内環境を整えることは、心の健康にも良い影響をもたらすと言われています。というのも、腸脳相関と呼ばれる仕組みがあり、腸内細菌が脳の神経伝達に関わっていることが、近年の研究でも明らかになってきました。例えば、腸でつくられるセロトニンという物質は精神を安定させる働きがあるとされています。
期待される具体的な効果
・善玉菌がストレスホルモンの分泌を抑える
・腸内細菌がセロトニンの合成をサポートし、気分の安定に貢献
・発酵食品を続けて摂ることで、睡眠や気分が改善されるケースも
発酵食品の摂取が、腸内環境の改善につながり、メンタルバランスの安定にもつながる可能性があるとされています。
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まとめ:発酵食品の効果
・発酵食品は乳酸菌や納豆菌などの善玉菌が腸内環境を整え、便通改善や腸のぜん動運動の活性化に役立つとされています。
・善玉菌が免疫細胞を刺激することで、風邪・花粉症などの予防やアレルギー症状の軽減にも効果が期待されています。
・栄養素が分解された発酵食品は吸収効率が高く、酵素の働きで代謝が活性化し、生活習慣病の予防やダイエットにも効果的です。
・GABAやビタミンB群の作用で自律神経が整い、ストレスの緩和や疲労回復、精神的な安定にも発酵食品は貢献します。
・発酵によって生成されるビタミンやアミノ酸が肌の代謝を助け、腸内環境改善とともに美肌や老化防止に働きかけます。