自分自身を俯瞰するというテーマで記事を書こうと思い『メタ認知が高い人の特徴』に落ち着きました。時々、目にするメタ認知という言葉の意味はなんとなく知っているけれど、実際にメタ認知が高い人は、どのような特徴を持っているのか、ということで掘り下げます。
僕自身もまだまだ学んでいる側ですが、ここではメタ認知力が高い人の具体的な行動特性、さらにはどうすればその力を鍛えられるのかなどを解説していきます。
そもそも『メタ認知』とは何か? サクッとおさらい
メタ認知とは『自分の考え方を客観的に見つめる力』のことになります。もう少し具体的にすると、自分の思考や感情、判断のプロセスを一歩引いた視点から見つめ、コントロールする力のことです。
このメタ認知力があると、感情や先入観に流されずに冷静に考えられるようになり、より的確な判断や柔軟な対応が可能になります。
また、ここでは軽く触れる程度に留めますが、僕たちが無意識に陥りがちな『認知バイアス(思考の癖や偏り)』を可視化すれば、メタ認知力を鍛えることができます。
メタ認知が高い人に共通する7つの特徴
メタ認知が高い人は、物事の見方や判断において独自の強みを持っています。自分の考え方や感情を客観的に捉えられるため、周囲との関係も円滑に進みやすく、ビジネスでも高い成果を上げているケースが多いです。ここでは、そうした人たちに共通する特徴を7つを順に紹介します。
① 自己を客観視できる
メタ認知が高い人は、自分自身を冷静に観察することで、その場にふさわしい振る舞いや判断を選べるようになるため、自分の思考や行動を一歩引いた視点から見ることができます。
メタ認知は、ビジネスシーンで特に重要なスキルとされており、例えばチーム内の意見が割れたとき、自分の主張に固執せず、全体のバランスを見ながら対応できる人はこの力があるためです。
客観視ができる人の傾向
・自分の言動が周囲に与える影響を意識できる
・状況を冷静に分析し、感情的に流されない
・問題の背景や構造を俯瞰的に捉えられる
② 感情に流されず冷静に判断できる
メタ認知力が高い人は、自分の感情を適切に認識し、それを判断材料から切り離す視点を持っているため、感情に左右されることなく冷静に判断を下すことができます。
感情に流されやすい状態はメタ認知力が低いサインだとされており、逆に高い人は感情と目的を明確に切り分けて行動できます。たとえば、ミスやトラブルが起きたときでも、その原因を冷静に振り返り、必要な対応に集中できるのです。
・一時的な怒りや不安にとらわれない
・目的と感情を明確に区別して行動する
・他者の感情にも配慮し、適切なタイミングで発言する
③ 自分の強みと弱みを正確に把握している
自分の特性を把握していれば無理なく力を発揮できる環境や役割を選べるため、自分の得意なことと不得意なことを冷静に理解しているのも、メタ認知が高い人の特徴のひとつです。
メタ認知には『メタ認知的知識』と呼ばれる要素があるとされ『客観的に自分の性格や能力を理解する力(※)』のことです。強みに集中し、弱点には工夫や助けを取り入れることで、効率的に成果を出せるという特徴があります。(※メタ認知は『客観的に自分の考え方を見つめる力』)
具体的な行動例
・自分より適任な人に業務を任せられる
・苦手分野ではサポートを求める判断ができる
・得意分野にお金や時間を集中する戦略を取れる
④ 他人視点を持てるコミュニケーション能力
メタ認知が高い人は、自分本位ではなく相手がどのような状況にあるのか、どのように言葉を受け取るのかを考えた上で発言や対応ができるため、相手の立場や気持ちを踏まえたコミュニケーションが自然にできます。
『自分を含めた状況を客観視できる』ことがメタ認知の基本ともされており、これを言い換えれば他人視点を持つ力と言うこともできます。相手への理解がある人は、次のような行動が取れます。
・相手の反応を見ながら伝え方を調整する
・無用な誤解や対立を避ける表現を選べる
・会話の目的を見失わず、建設的な方向に導ける
⑤ 自らの思考と行動を調整できる
感情や習慣に流されず『今のやり方が最適かどうか』を判断できるため、メタ認知力が高い人は自分の考え方や行動を客観的に見直し、その場に応じて柔軟に調整することができます。
メタ認知には『メタ認知的技能』という要素があり、これは『自分の行動をふまえて対応を変える力』のことです。たとえば、気まずい空気を察したら言い回しを変える、ミスに気づいたらすぐ修正する、という対応もこれに当てはまります。
具体的な行動例
・状況に応じて自分の役割や姿勢を変えられる
・必要に応じて行動を中断したり、軌道修正する
・なぜうまくいかないのか?を冷静に分析し対応する
⑥ 課題解決に向けた柔軟な対応力
メタ認知が高い人は、目の前の状況を客観的に把握し最適な方法を選ぶ判断力があるため、トラブルや予想外の変化にも冷静に対処し、最適な対応策を練ることができます。
メタ認知力の特徴のひとつとして『思考と行動の柔軟性の高さ』が挙げられており、特に変化が多いビジネス環境では重要視されます。このタイプの人は以下のような対応に長けています。
・状況が変わったときでも冷静にやるべきことを見極める
・ミスがあっても落ち着いて原因を突き止め、対応策を考える
・周囲と連携しながら改善策を実行する
⑦ 目標達成に向けた戦略的行動ができる
メタ認知が高い人は、自身の立ち位置や課題を常に確認しながら軌道修正や優先順位の整理を行っているため、目標に向けて今の自分に何が必要かを見極め、戦略的に行動を積み重ねられます。
メタ認知力は、将来のビジョン形成にも関係があり、目標と現在の状況をつなぐ思考ができる人ほど、再現性のある成果を出せる傾向にあるそうです。たとえば、以下のような行動がその表れです。
・現状と目標のギャップを把握し計画を立て直す
・無駄な行動を省き、効率よく成果につなげる
・結果に一喜一憂せず、プロセスを検証しつつ改善していく
メタ認知能力を高める具体的なトレーニング方法
メタ認知は、先天的な能力というよりも後天的に鍛えられるスキルです。ここでは、日常生活の中で実践できる、具体的で効果的なトレーニング方法を3つ紹介します。どれも継続することで確実に変化が感じられるものばかりなので、いずれかを取り入れてみましょう。
メタ認知日記:思考や感情を媒体に記録する
自分の思考や感情の流れを日記として記録することで、頭の中だけでは見えづらい自分の感情や思考パターンを可視化します。ノートを通じて自分の感情や思考を読む=自分の感情や思考を客観視することになるので、自然とメタ認知の力を鍛えることができます。
僕自身は「フリーライティング」という習慣があり、簡単にお伝えすると、頭の中にあることを全部書き出す行為です。これは、自分の思考や気づきをそのまま書き出すことで、モニタリングと内省の習慣が身につく手法です。特におすすめなのは以下のような書き方です。
・その日の出来事と感じたこと
・判断要素や反省等その時に浮かんだ考え
・本当はどうしたかったか?という問いに対する答え
セルフモニタリング:思考と行動を内省する
日常の中で、自分の行動や思考を観察する習慣をつけ、その場での自分の反応をリアルタイムで観察する意識を持つことで、無自覚な思い込みに気づきやすくなり、メタ認知力が大きく向上します。
セルフモニタリングは、メタ認知トレーニングの基本とされており、以下のようなタイミングで意識的に自分を観察するのが効果的です。
・会議や商談など、判断が求められる場面
・イラっとした、落ち込んだ、など感情が動いたとき
・行動の結果を振り返るとき
ポイントは『評価しない』ことです。この時に良し悪しの判断は一旦置いといて、自分は今どのように考えてどのように行動したか?着目することがメタ認知力の向上につながります。
第三者視点シミュレーション:他人の立場で考えたり自分を見る
他人の目で自分を見たり他人の立場で状況を考えたりすることで『自分中心の思考』から脱却しやすくなるため、第三者の立場になって物事を考える練習をすることで、視野が広がり、メタ認知力が実践的に高まります。以下のようなシミュレーションが効果的です。
・会議での自分の発言を、上司や部下の視点で振り返る
・トラブル時に、自分の対応が相手にどう映ったかを想像する
・架空の第三者にアドバイスするつもりで状況を整理する
メタ認知力を仕事や学習で活用する
メタ認知の価値は実践的な場面でこそ発揮されます。仕事ではどう役立つのか、学びの場面ではどう変化をもたらすのか、ここではビジネスや学習における具体的な活用例を紹介します。
マネジメントやリーダーシップにおける活用
メタ認知が高い人は、自分自身の言動を冷静に振り返りつつ、他のメンバーの状況にも配慮できるため、組織全体を的確な判断と柔軟な対応でより良い方向に導くことができます。たとえば、次のような行動が自然にできる人が多いです。
・指示や態度が周囲にどう伝わっているかを確認し調整できる
・メンバーごとの得手不得手を踏まえて仕事を割り振れる
・感情に流されず、冷静に状況判断できる
チームでの円滑なコミュニケーション
メタ認知があると、自分と他者の視点を行き来できるため、誤解や衝突を未然に防ぎます。もちろんチーム内のコミュニケーションもスムーズになり、人間関係も安定しやすくなり、気持ちよく働ける環境の構築につながります。
メタ認知の高い人は協調性が高いとも言われており、それは自分の考えや感情だけにとらわれず、周囲の立場を想像して行動できるからです。たとえば、次のような場面で力を発揮します。
・会議で意見が対立しても、場を調整しながら話を前に進める
・相手の感情に気づいて、言葉を選びながら対応できる
・メンバー同士の関係に目配りし、橋渡し的な役割を担う
このような人がいると、チーム全体の雰囲気が安定しやすくなります。
学習効率の向上と自己調整学習
メタ認知が高い人は、自分の理解度や進捗を客観的に把握しながら、学習方法を適宜調整できます。具体的には「何が分かっていないか」「どこを伸ばすべきか」を自分で把握できるため、学びが無駄になることが少ないです。以下のような行動ができると、学習の質が大きく変わります。
・勉強後に「何ができて何ができなかったか」を振り返る
・苦手な部分に時間を割き、学習計画を微調整する
・間違いやつまずきを放置せず、改善策を試してみる
このような姿勢が定着すると、単に頑張るだけ、ではなく成果につながる学習に変わっていきます。
まとめ:メタ認知が高い人は自己成長力に優れている
メタ認知力は行動・判断・人間関係・学習の全てに影響を与える実用的なスキルです。なかでも、メタ認知が高い人ほど、自分の課題を自覚し、変化を受け入れながら前に進む自己成長力が際立っている点です。深く反省しつつもまとめます(僕自身もまだまだ学習する側です)。
メタ認知力が高い人は、変化に適応しながら自らを磨き続けられる
自分を客観的に見つめる力があることで、現状に満足せず、改善点や課題を冷静に捉え、柔軟に行動を修正していくことができす。メタ認知力の高い人ほど「学びを深められる」「周囲と協調できる」「問題を冷静に乗り越えられる」など成長に直結する行動特性を持っており、これらはすべて、自己理解と自己調整を繰り返す成長ループの中にあります。
・自己認識の高さ → 行動の最適化
・感情コントロール → 人間関係の安定
・学習の客観視 → 習得スピードの向上
・問題対処の柔軟性 → 成果の再現性
メタ認知力は鍛えることができる
今の自分が完璧である必要はなく、むしろ不完全であるからこそ内省し、改善する余地があると解釈するのが良きかな判断かと思います。
・日々の振り返りを書き出す「メタ認知日記」
・行動や感情の傾向に注目する「セルフモニタリング」
・他者視点で自分を見直す「シミュレーション訓練」
どれもシンプルですが、継続することで確実に効果を期待したいところです。